顕微鏡を使っていて本当に良かったと思うことの一つに、肉眼では絶対に発見できない虫歯を見つけて治療したときです。
たとえば上の写真、左上の一番奥の歯を鏡を使って奥側から顕微鏡で観ています。どこに虫歯があるかお判りでしょうか?
実は歯肉の中に虫歯があり、その一部が見えてるのです。
レーザーで歯肉をどかしてみると、ご覧のようにけっこうな虫歯が現れました。
顕微鏡を覗きながら虫歯だけを削っていきます。つまり歯は削っていません。
欠損しているところ(要するに穴)にコンポジットレジンを慎重に詰めて行くと、ごらんのように綺麗に仕上がります。
治療中はビデオ撮影していますので、治療後は患者さんにそれをご覧いただき、安心してもらえるわけです。すべて顕微鏡がなければ不可能な事、良い時代になったものです。
それにしてもこの歯、なぜこんな隠れたところに虫歯ができたのでしょう?
実はここにはだいぶ前に親知らずがあり、そのせいで磨き残しがあり、虫歯が発生したものです。抜歯したときに発見して同時に治してもらえたら良かったのですが、肉眼では無理だったことでしょう。
その後数ヶ月経って歯肉が盛り上がって来ると、虫歯は歯肉の中に隠れてほとんど見えなくなってしまいます。
この患者さん、最初はこの部位の歯ブラシができておらずプラークが着いていましたので、顕微鏡を使っても虫歯を発見できる状況にありませんでした。
しかし歯科衛生士と一緒になって歯ブラシの練習をしてきれいに磨けるようになると、虫歯を発見できる状態になりました。つまりこの虫歯は、歯科衛生士が発見したものです。そして私が治療するときには、その歯科衛生士が治療の介助に着くので、患者さんも私も安心です。
歯科医院選びに顕微鏡の有無は大切なポイントですが、ただ顕微鏡があるだけでなく、きちんと使いこなしているかどうかが重要です。これから虫歯治療をしようという方は、ぜひ総合力で判断されてください。
できれば3件くらい行ってみて、最も相性が良さそうなところでの治療をお勧めいたします。