歯周病とインプラント周囲炎治療の最適解 予後を決める骨免疫とは?

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歯周病とインプラント周囲炎の治療に対し「骨免疫(こつめんえき)」という新しい考え方が注目されています。免疫という言葉はコロナ禍に誰もがお聞きになったと思いますが、免疫にはウィルス感染防御以外にも働きがたくさんあり、実は骨も免疫に左右されて動いています。つまり歯周病やインプラント周囲炎の発症や予防にたいへん深く関わっており、私はこれを加えた治療が最適解だと考えています。

この記事ではまだ一般に認知されていない骨免疫と、その歯科での応用について、一般の方にも解りやすいように解説します。歯周病とインプラント周囲炎の治療にお困りの方は、長文ですがぜひ最後までお読みになり実行されてください。とりあえず何をすれば良いかだけを知りたい方はコチラからお読みください。

インプラント周囲炎の治療にも栄養療法を

インプラントはどれくらい持つのか?は誰もが気になるところです。多くの調査研究がありますが、インプラントを入れてから10年後には、だいたい98%くらいがそのまま使えているいう結果が出ています。

これはたいへん高い数値に見えるかもしれませんが、実はそのうちの10~20%はインプラントを支えている骨に炎症がおき、下の写真のように骨が吸収して無くなるインプラント周囲炎になっていると言われています。炎症が起きている事に気づかずに使っている方が、かなりおられることになります。

インプラント周囲炎のレントゲン
Screenshot

インプラント周囲炎の治療は歯周病のそれよりもさらに難しく、治療方法は確立されていません。そのため多くの場合、簡単な洗浄などの消極策がとり続けられるだけになっています。

ですからインプラント周囲炎は予防することが最善と言われているのですが、それでは既に発症してしまった多くの患者さんには何の解決にもなりません。それに治らないのはそれなりの原因があるはずです。

以下は7年前に治療方法のバリエーションについて書いたものですが、今も基本的にここから大きな変化はありません。

しかし近年、インプラントの周りの骨には何が起きているのか・なぜそうなるのか、がだいぶ解明されてきました。それが骨免疫という新しい分野で、これには栄養が関与する部分がかなり多いことが解っています。

治すことが難しい病気には、まず腸と栄養の適正化から始めるのが基本です。ここが標準医療に欠けている視点で、骨免疫を考慮するとインプラント周囲炎治療も、まずそこから始めると良い結果になる可能性が高いと考えています。

本稿では治療がより難しいインプラント周囲炎の治療を中心に書きますが、基本的に歯周病の治療も同じですので、適宜補足して行きます。

インプラント周囲炎治療の3段ピラミッド

インプラント周囲炎治療ピラミッド 1・栄養と免疫 2・除菌 3・再生

インプラント周囲炎の話題は何度も取り上げてきましたが、ベースとなる栄養の適正化(良い食事と健全な胃腸)は、再生に必要な原材料と工具の安定供給という意味でとても重要です。

栄養の適正化とは足りない栄養素をサプリで摂るのではなく、まず消化吸収のために、胃腸機能の健全化から始めなくてはなりません。実はこれがこれから説明する骨免疫の適正化に直結します。

これはまだ私の推論ですが、インプラント周囲炎治療は上図のように3段のピラミッドを順番に積み上げて行くのがベストだと考えています。つまり下から①栄養・免疫 ②除菌 ③再生 です。

インプラント周囲炎は一度発症すると止めることが難しいのですが、栄養と骨免疫をしっかり理解しておけば、良い結果に近づくだろうと考えています。もちろん予防にも効果があるはずです。

ただしこれは理想論で、現実的に実行しにくいところがあります。しかし現在よく行われている積極的なインプラント周囲炎治療は①の重要性に気づいておらず、不十分な②だけが行われているように感じます。これでは進行は止まらず、③の再生にまで結びつきません。

この記事の後半でピラミッド各ステップのポイントを記しますが、その前に骨について、そして骨免疫にについて説明します。

骨だって生きている

骨細胞・骨芽細胞・破骨細胞

骨は硬い石のようなものでカルシウムの塊…といういイメージはないでしょうか?

実はそうではなく骨だって生きていますので、歯と違って少々損傷しても再生します。骨折しても繋がるのはそのためで、インプラントの廻りに骨が成長して絡みついて一体化する現象(オステオインテグレーションと言います)も同じです。

生きているということは骨の中には細胞があって、新旧交代(置き換わり・新陳代謝)が行われているという事です。これをターンオーバーというのですが、骨では特にリモデリング(再構築)という言葉が使われます。

これは破骨細胞(はこつさいぼうという骨を破壊する細胞と、骨芽細胞(こつがさいぼう)という骨を作る細胞、この2種類の細胞がバランスよく働き、古い骨を分解しながら新しい骨を作っていく現象です。

もしなんらかの原因で破骨細胞の動きだけが早くなると、骨は少なくなっていきます。わかりやすいのが骨粗鬆症で、骨の中身がスカスカになって行きます。

そしてもう一つ骨細胞(こつさいぼう)というのがあります。これは破骨細胞が変化したもので、骨の中で破骨・骨芽の両方へ信号を送り、どちらをどれくらい動かすかの司令塔になっています。

インプラント周囲炎と骨免疫の関係

では骨のどこに免疫が関与しているのかと言うと、実は破骨細胞とは元々は白血球(単球とかマクロファージと呼ばれるもの)だったものです。

白血球といえば細菌やウィルスを食べてポイしてくれる有難いやつですが、破骨細胞はこの性質を利用して古い骨を破壊してポイしてくれる専門家に進化したのです。

では破骨細胞は、どういう信号(命令)で動き出すのでしょう?それが骨細胞から出るRANKL(ランクル)という物質です。

ちょっと難しい言葉ですが、炎症はNFκB(エヌエフ カッパー ビー)というマスターキーで動き出します。RANKLはこのNFκBを次々にオンにして、破骨細胞にたくさん働くように信号を送ります。

つまりこれが歯の周りの骨におきれば歯周病に、インプラント周囲の骨におきればインプラント周囲炎です。

RANKL

RANKLとは、Receptor Activator of Nuclear Factor κB Legand の略で、骨を溶かす細胞を呼び寄せる合図をするタンパク質、と訳されます。

RANKLを掴まえるオトリ物質OPG

RANKLと結合するオトリ物質OPG

RANKLがたくさんあると破骨細胞に命令が行き骨吸収が進みそうなものですが、その前に先回りしてRANKLと結合して破骨細胞に仕事をさせない仕掛けがあります。それが骨芽細胞が作るOPGという物質です。

狩りをするときに獲物をおびき寄せるためのデコイという鳥の模型がありますが、OPGはRANKLに対するデコイなので、囮(オトリ)物質と呼ばれています。

実は歯周病とインプラント周囲炎の本態とは、細菌が作る毒素がRANKLとOPGのバランスが崩RANKLが優勢になった状態です。これが骨が吸収する理屈です。

OPG・RANKL・RANK

OPGはOsteoprotegerinの略称で、専門的にはデコイ受容体と呼ばれています。紛らわしいのですがRANKLは破骨細胞前駆細胞のRANK(Lがありません)に結合し、NFκB経路を介して破骨細胞の分化・活性化を促進する、というのが正しい表現ですが、あまりに難しいので本編では省略しています。

インプラントは細菌の悪影響を受けやすい

インプラントはチタンやジルコニアでできていますが、不思議なことに体はこれを異物と認識しない(抗原性がほぼない)ので、骨が寄り添ってきてガチガチに固定されます。この現象を骨結合(オッセオインテグレーション)と言って、歯の替わりとして噛む力を負担できるようになります。

しかし上に書いたように口の中には細菌がたくさんいますし食事もしますから、インプラント周囲にもすぐ細菌が定着します。

自分の歯ならある程度の感染に抵抗できますが、インプラントは構造上どうしても細菌の悪影響を受けやすくなっています。それでも代謝(体の化学反応)や免疫が適正なら骨には問題が起きず、生涯に渡って使う事ができます。詳しくは以下をごらんください。

歯周病・インプラント周囲炎とPg菌

さてどんな細菌でもRANKLとOPGのバランスを崩すかというとそうではなく、ある程度限定されています。

その原因菌の筆頭として挙げられているのがPg菌というもの。こいつがいると、歯周病もインプラント周囲炎も発症する可能性がとても高くなる事が解っています。

Pg菌

正式にはPorphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)と言うのですが、あまりに長いのでPg菌と略されます。

口の中には500~1,000種類の細菌が生息していると言われ、腸と同じように人それぞれ組み合わせが違います。その中にはムシ歯の原因になるものもあるし、歯周病・インプラント周囲炎を引き起こすもの、がんの一因になっている可能性があるもの、などがあります。

Pg菌がいると炎症を介してRANKLが増え、OPGを減らします。つまりバランスが崩れて破骨細胞が働き出し、骨が無くなっていく…という図式です。

ただしPg菌はそれ単体で悪さをするわけではなく、どうやら他の菌に指令を出している裏のボスのような存在というのが判っています。

運悪くPg菌が多いのにそれを知らず、インプラント周囲の磨き状態が悪ければ、破骨細胞が過剰に動き出す、これがインプラント周囲炎です。

Pg菌はアルツハイマー型認知症患者の脳内からも見つかるなど、全身に悪影響を与えていることは確実なのでできるだけ減らしたいものです。

それと同時にその活動を抑える良い菌を増やす事が重要です。これにはちゃんと方法があるので、以下で説明します。

制御性T細胞と腸内環境

実はRANKLとOPGの比率に影響を与えるものはまだあります。ちょうどこの原稿執筆中に坂口志文先生のノーベル賞受賞が発表されましたが、氏が研究していた制御性T細胞(Treg=ティーレグ)がそれです。

Tregは免疫を制御するブレーキ役と説明され、十分機能しているとRANKLを抑制しつつ、OPGを増やします。つまり骨が再生(というかリモデリングが正常化)する方向に動きます。

ちょっと話は変わりますが、白血球の仲間にマクロファージというのがあります。これは体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物や死んだ細胞を片付ける役なのですが、これにはM1とM2の2種類があります。

M1は骨を壊す方向に動かし、M2は骨を作る方に働きます。そしてこの両者のバランスを取るのがTregで、さらには骨芽細胞に作用してRANKL/OPGバランスを整え、骨吸収を抑える役割もあります。

実はこのTregを育てているのが腸内細菌です。腸内細菌がつくる短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)というものがTregを増やし、全身の炎症を抑える方向に働きます

つまり、腸内の状態が整うとTregが元気に働き、M2優位・炎症抑制・骨の安定となります。逆に腸内細菌が乱れるとTregが減りM1優位となり、慢性炎症やインプラント周囲炎のリスクが高まります。この状態の人はPg菌の悪影響を受けやすい(感受性が高い)と言えます。

ちなみに腸内の細菌の種類や組み合わせが健全かどうかを腸内環境が良いとか悪いと言います。良い場合をシンバイオシス、悪い場合をディスバイオシスと言います。

便秘や下痢がある人は、ディスバイオシスと思って間違いありませんので、歯周病・インプラント周囲炎の治療を始める方は、同時にその改善を強くお勧めしています

なお海外では、炎症による骨吸収を事前に調べる検査キットが発売されています。

骨免疫をサポートする栄養素とは?

以上のように、インプラント周囲炎を寛解するためには、崩れたRANKLとOPGの比率を改善する必要があります。

そのためにはまず原因である歯とインプラントの周りの細菌を、歯ブラシや手術でできるだけ少なくする必要があります。そして一般にはこれしか方法がないと考えられています

しかし私は、まだやることがあると考えています。それが栄養と免疫です。

ここまで説明してきたように、骨は免疫の影響を強く受けていますので、細菌の攻撃に負けやすい体質、具体的には腸内環境も問題で、これを変えること、つまり免疫にアプローチするのも自由診療での柱になります。

治療により細菌の数を減らし、その攻撃力が落ちている間に、傷んだ歯肉や骨が再生するのを期待するのですから、先に再生に必要な栄養(原材料と工具)を供給しておくのは当然です。

そして栄養の消化吸収を正常にするために胃腸機能の適正化が重要になりますが、これは同時に骨を壊す破骨細胞の過剰な働きを抑える免疫の適正化に直結します。

以上をを改善するための栄養素には、以下のものがあることが解っています。

カテゴリー抑制因子作用機序
栄養素オメガ3脂肪酸(EPA, DHA)、亜鉛、セレン、マグネシウム、ビタミンDNFκB経路抑制、抗酸化作用
ポリフェノールクルクミン(ウコン)、レスベラトロール、ケルセチン、EGCG(緑茶)IKK阻害・ROS低下
内因性因子SPMs(リゾルビン、プロテクチン)炎症終息シグナル
生活習慣睡眠、適度な運動、ストレス軽減副交感神経活性化→NFκB抑制

実はこれらはみな腸の免疫を適正化し、慢性炎症体質を改善させるもので、栄養療法や機能性医学と呼ばれる分野では常識的な考えとなっています。

3段ピラミッドを解説

インプラント周囲炎治療ピラミッド 免疫と栄養・除菌・再生

では3段ピラミッドを下から解説して行きましょう。

① 栄養と免疫の適正化

インプラント周囲炎治療のための栄養
インプラント周囲炎治療のための栄養

先に書いたように、ベースとなる栄養の適正化(良い食事と健全な胃腸)は、再生に必要な原材料と工具の安定供給という意味でとても重要です。

EPA

DHAと共に魚の油として有名なEPAはn-3とかオメガ3という油の仲間です。その作用には炎症のスイッチをオフにするという重要な働きがあります。

またマクロファージのM1を抑え、M2を増やし、Tregを誘導して骨吸収を抑えます

EPAは魚や亜麻仁油・エゴマ油に多く含まれますので、肉より魚を多くする食事に変えていただきたいです。

その肉をはじめ、現代食にはアラキドン酸(n-6・オメガ6)という炎症をオンにする油が多く含まれていますので、それをできるだけ少なくすることも重要です。

これらのバランスは血液検査で容易に測ることができます。詳しくはまた別項でお話しいたします。

水溶性食物繊維

前述の短鎖脂肪酸とは、そもそもは腸のエネルギー源となるもので、水溶性食物繊維を材料に腸内細菌が産生します。

水溶性食物繊維、オートミール・海藻・玉ねぎ・ぬか漬け・キムチ・納豆・山芋・オクラ・モロヘイヤなどに多く含まれます。工夫して普段の食事に取り入れてみましょう。

ビタミンD

ビタミンDは骨と免疫に直接作用しますので、歯周病とインプラント周囲炎治療にはたいへん重要な栄養素になります。

現代人の食生活や生活習慣のままではまず間違いなく必要量に達しませんので、これだけは必ずサプリメントを用い、25OHビタミンDという項目が50~80ng/dLになるようにしましょう。

その他

以上の他、タンパク質・ビタミンB群は、治療するしないに限らず日々意識して補給することをお勧めいたします。

また亜鉛とマグネシウムも、細胞分裂やエネルギー産生に必須ですので、意識して補給しましょう。

また骨のコラーゲンを作るために、鉄とビタミンCは必須です。ただし鉄は細菌が優勢で炎症が強いとそちらに奪われてしまいますので自己判断では使わず、栄養療法に詳しい歯科医師・歯科衛生士にご相談ください。

なお栄養状態を推測する血液検査値の読み方は、以下にまとめてあります。

② 除菌

除菌にはご自身で毎日することと、歯科医院で定期的に行うこに別れます。また効果を確認するために、先にPg菌のPCR検査をすることをお勧めしています。

Pg菌のPCR検査

歯周病Pg菌のPCR検査機器 QUON
歯周病Pg菌のPCR検査機器 QUON

除菌にあたり、施術後の効果を確認するために、予めPg菌などのPCR検査をする事をお勧めしています。

当クリニックでは18分で検査結果がでるiCat社のQUONという装置を用いているので、菌の量まで測ることができます。これにより除菌の目標が設定できますので、施術前後での努力の評価ができるようになりました。これで従来のなんとなく除菌しているということはなくなります。

Pg菌以外の検査もできるのですが、まずは最も安価なこちらから始めるのが良いでしょう。

QUONによるPg菌の検査結果
QUONによるPg菌の検査結果

歯磨き

除菌の基本は歯磨きです。まず可能な限り自力で歯垢(プラーク)を除去することが優先で、これが日常的にできていないと次に進めません。詳しくは以下をご参照ください。

Pg菌の除菌を目的とした歯磨剤

どんなにがんばっても100%磨き切ることはありえません。そこで歯垢を構成する細菌の性質を変え、病原性を落とすことが重要です。最近新聞にも話題が上がりました。

こちらで紹介されている歯磨剤は11月発売とありますが、すでに私は試用しております。

Pg菌をターゲットにしたSystema SP-T
Pg菌をターゲットにしたSystema SP-T

ロイテリ菌

BioGaia社のロイテリ菌タブレット
BioGaia社のロイテリ菌タブレット

Pg菌の総量を減らしたら、増えてこないように先に良い菌を増やしましょう。代表格はBioGaia社のロイテリ菌です。腸内細菌にも効きます。

エルビウムヤグレーザー・顕微鏡・その他

以上は患者さん自身が行う除菌で、ここまでやっていだだければ歯科医院では安心して除菌を行うことができます。

そのバリエーションはたくさんあるのですが、以下にまとめてありますのでご参照ください。鍵になるのは顕微鏡を見て細部まで確認しながらエルビウムヤグレーザーという装置により、可能な限り感染源を除去することです。

③ 再生

上の動画は歯肉をそのままの状態で、インプラントの周囲をできるだけ除菌しようとしているものです。重症になると歯肉を切開してインプラントの表面を露出させ、器具がきちんと届く状態でないと除菌できません。その動画もあるのですが、ここでは割愛いたします。

インプラントの表面は前述のエルビウムヤグレーザーが有効ですが、それ以外にもチタン製ブラシ・βTCPパウダーの噴射・抗生剤なども使うこともあります。

骨がなくなりインプラントが露出している部分には、人工の骨を補填し骨を再生させることをお勧めしておりますが、これにも材料がいろいろございますのでご相談となります。

世界的にはDFDBA(脱灰凍結乾燥骨)というものが最も骨がよくできると評価されていますが、日本では法律の関係で使用制限があります。

また再生医療で話題の幹細胞培養上清液の併用も注目されていますが、正式な薬ではなく臨床試薬として提供されているだけですので、条件付きの適用となります。

歯周病には噛み合わせ調整による歯の安静を

このピラミッドはインプラント周囲炎用に作ったものですが、歯周病にはもう一つ歯の安静が加わります。

インプラントは骨と直接結合していますので、極端な話ですが骨との接触が最後の1mmになっても、食事をして動くことはありません。したがって再生させたいインプラント周囲の安静には、あまり気を使う必要はありません。

しかし歯周病の治療中は歯の安静はとても重要です。せっかく再生の要素が揃っても、食事の圧力で歯が動いてしまっては、治りかけの細胞が動いてしまい再生が難しくなるからです。

そのため隣同士の歯を接着したり、連結するなりの工夫が必須となります。

専門用語まとめ

  • 骨免疫:骨の新陳代謝と免疫の仕組みが連携するシステムのこと。
  • インプラント周囲炎:インプラントの周囲に起こる炎症で、放置すると骨が溶ける。
  • Pg菌:歯周病やインプラント周囲炎の起点となる命令を出す親玉菌。
  • 破骨細胞:骨を壊す細胞。
  • 骨芽細胞:新しい骨を作る細胞。

まとめ

ちょっと複雑な骨免疫について説明してきました。

破骨細胞の動きをONにするのはRANKLという物質ですが、この動きはPg菌の作用と、その感受性に関与する腸内環境に大きく左右されます。つまり歯周病もインプラント周囲炎治療も、腸内環境の健全化ポイントになると考えています。

腸内環境の改善は一朝一夕には行きませんが、長い目で見れば全身の病気予防に直接繋がるので、取り組むメリットは非常に大きいと考えています。歯周病やインプラント周囲炎の治療をされている方は、口の中だけでなく、ぜひ腸活にも取り組まれてください。少なくとも便秘や下痢がある方は、直ちに栄養療法に詳しい専門家とご相談されることをお勧めいたします。

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この記事を書いた人

吉田 格(よしだ いたる)

東京銀座の自由診療専門の歯科医師。自由診療による本当の標準医療と厳選された代替医療を併用し、健康保険では解決しない歯周病・インプラント周囲炎・根管治療などを多く手がける。顕微鏡・レーザー・栄養療法では指導的立場にある。詳しくは以下をご参照ください。