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自由診療と保険診療 本当の違い

保険医療機関で行う自由診療には法律的な制限がある

 
突然ですが、あなたが受けてきた歯の自由診療(自費治療・保険外診療)は、本当に価値のある治療だったでしょうか?
 
なぜそのような事を訊くのか、それは自由診療を受けたにもかからわず結果が思わしくないという話が増えているからです。
 
せっかく保険診療ではできない高度な治療を受けたと思ったのに、これでは意味がありません。なぜそのような結果になってしまうのでしょうか?
 
考えられる原因の一つに、最初から無理な治療であったことが考えられます。制限の多い保険診療の枠から離れ、いろいろなチャレンジができるのが自由診療ですが、生体という不確実なものを扱う医療の特殊性を踏まえれば、いたしかたがない部分もあります。うまく行かなくとも、最善の選択として次の策を講じてもらえれば良いのです。
 
しかし、そのような事があるという話は事前にされているべきです。すなわち自由診療と保険診療が具体的に何がどう違うのか、おこりうる可能性は何かなどの正しい情報が必要です。それをご存知ないまま治療をしてしまうと、がっかりした結果になるでしょう。
 
ただし自由診療とはその名の通り自由なので、各歯科医院ごとに考え方の違いがあります。すなわち歯科医院の数だけ自由診療の種類があるという事です。
 
またできる事とできない事の差もあります。特に保険医療機関では混合診療にならない範囲でしか自由診療が行えないという法律的な制限があり、十分な配慮が難しくなります。
 
おかしな話だと思われるでしょうが、保険医療機関で行う自由診療とは、意外にも不自由なのです。歯科医師が「できる限り患者さんのために」と思って行いたい治療とは、違う治療にならざるをえないのです。
 
ちょっと不思議な、自由診療と保険診療の本当の違いについてご説明いたします。
 
 

自由診療と保険診療の違いは材料だけではない

 
よくある歯の自由診療の説明に「高品質な材料を使うから保険診療とは違う」というものがあります。確かに材料は重要です。しかしその作り方が保険診療と同じだったらどうでしょうか。
 
たとえば冠(クラウン)を被せる治療では、自由診療にすることで見た目や物性に優れたジルコニアとかメタルボンドという材料を使う事ができます。
 
しかし、ある程度時間をかけて丁寧に削り、後述する歯肉圧排をきちんと行い正確な型取りをして作らないと、短期間で外れたりムシ歯の再発が早まったりします。
 
つまりモノ(材料)以上に、コト(やり方)の方が重要なのです。そしてコトの違いが顕著に現れるのが、根管治療(歯内治療)です。
 
根管治療はその成功率が低さが問題になっている代表的な歯科治療メニューで、そもそも治療にかけられる予算が諸外国の1/8とも1/16とも言われ、ラバーダムもできず、先進国としてはあまりに恥ずかしい結果になっています。
 
これはコトの大切さを考慮していない保険診療の問題点が露呈した結果です。
 
そこで最近、正しい治療をしたいと考える保険医療機関では、自由診療での根管治療を勧めるところが増えています。それにより治療に必要な最低限の時間を確保しつつ、どうしても必要な設備投資をしているわけです。
 
矯正やインプラントなど、最初から自由診療しかない治療メニューもありますが、入れ歯や歯周病治療など保険診療の対象となっている治療メニューにも、実は保険診療とはまったく異なる自由診療なりのやり方があるのです。
 
あなたが自由診療を選択する場合、その歯科医院がどれだけコトを重要視しているかを知っておく必要があります。違いは材料だけと言われたら、考え直さなくてなりません。
 
 
 

歯肉圧排をご存知でしょうか

さて、話を「冠を被せる治療」に戻します。
 
自由診療の冠の材料にはとても多くの種類があります。しかしどれを使うにしても、正確な型取りをするためには「歯肉圧排」という作業、つまりコトが必要です。
 

上のビデオが歯肉圧排をしている様子です。ご覧のように、細い糸を歯肉の中に入れてゆきます。これにより歯と歯肉の間にスペースを作ります。
 
さらにそこに型取り材を流し込むことで、歯の削りシロ(どこまで削ってあるか)まで記録された歯型を作ることできます。これにより、やっと正確な冠を作ることができます。
 
さらに詳しい説明は以下のサイトをご参照ください。

 
ところでこのビデオは、比較的スムーズに歯肉圧排ができたケースです。しかしほとんどのケースでは最初から歯肉炎をおこしているので、糸を入れると出血します。出血があると型取り材が乗らず、不正確な型取りにしかなりません。それに炎症を起こしているので、糸を入れる時にはそこそこの痛みを伴います。これでは患者んさんに嫌われてしまいます。
 
ではどのようにしたら出血がなく痛くない、本来の歯肉に戻るのでしょう?それは「毎日ちゃんと正しく歯ブラシをかけること」で実現します。
 
歯を削ったところは、確実に人工物(この場合は冠)で封鎖しなくてはなりません。ところが冠はその境目が歯肉の中にあることが多く、そのままでは境目が歯肉に隠れているので、型取り材がそこまで達しません。
 
つまりいくら物性に優れた良い材料を使っても、歯肉圧排をしなければ予定より短い合っていない冠しか造れません。
 
歯肉圧排はひじょうに手間がかかる作業なので、ラバーダムと同様に健康保険ではあまり行われません。歯肉圧排をしてもしなくても、収益は変わらないからです。ただでさえ不採算な保険診療で、そこまでやろうとは思わないのはしかたがありません。
 
ですから、もしあなたが早く治療を終わらせるのが腕のよい歯医者さんだと思っていたら、それはかなり高い確率で間違っていることになります。
 
 

炎症がない歯肉に戻す歯科衛生士の仕事

 

ところで炎症がない歯肉には、一朝一夕に戻せるわけではありません。今まで歯ブラシが正しく当たっていなかったからムシ歯になったわけですが、同時に歯肉も磨けていませんから、多かれ少なかれ炎症は残ったままです。
 
すると、ムシ歯治療と並行して正しい歯磨き方法を教えてもらい、型取りの前までに正常な歯肉に戻す必要があります。その役職に在るのが歯科衛生士です。
 
歯科衛生士は単なる助手と区別がつかないかもしれませんが、ちゃんとした国家資格所有者です。
 
さてあなたは歯科衛生士から、きちんとした歯磨き指導を受けたことはあるでしょうか?あるかもしれませんが、それは何回でしょう?教わったあとで、きちんと磨けていることを確認してもらいましたか?
 
実はこれがほとんどできていないのが現状です。なぜなのでしょう?
 
 

日本独自の法解釈 混合診療

 
問題は、混合診療という日本独自の法解釈にあります。
 
保険医療機関は基本的に、健康保険制度でカバーされる治療メニューは健康保険で行わなくてはなりません。
 
もしそれ以外の方法を、すなわち自由診療を行う場合はそれまで行ってきた保険適用分は無効になります。つまり健康保険と自由診療の併用は一切認められず、どちらかにしなくてはなりません。医療は良くも悪くも平等でなくてはならないという考えです。
 
ただし例外があって、歯科では冠の材料を変更し自由診療にすることが古くから認められています。そのせいもあって、前述の材料しか変更しない自由診療が今だにあるのでしょう。
 
また、根管治療は基本的には健康保険で行わなければならないはずですが、最近の行政の判断は自由診療で行なっても良い事のようです。ただしその後に続く冠を被せる治療に、健康保険を使うことはできません。
 
以上のように、保険医療機関でも単品ごとの治療メニューを自由診療で行うことは可能らしいです。らしい、というのは公式見解として明文化されたものがなく、またそもそも混合診療の定義すら明文化されていないからです。
 
ただし問題なのは、混合診療にならないようにするためには保険診療と自由診療の治療日を異にするなど、順番をやり繰りしなくてはならないことです。そのため一回で終わる治療も二回かかる、という無駄な期日が延々と発生することになります。これでは患者さんは通い続ける事ができません。
 
しかしそれ以上の問題があります。それは、複数の治療メニューの同時進行や相互乗り入れをするときです。具体的には歯周病治療や口腔衛生指導との組み合わせで他の治療も進行する時で、実はほとんどの治療がこれに該当します。
 
 

本当に自由な診療は自由診療専門医でしかできない

 
先に《炎症のない歯肉に戻す》ことが精度の高い冠を入れるために重要であり、《その役割を担うのが歯科衛生士》であると書きました。
 
さてその正常な歯肉にもどすための時間と予算は、保険診療で給付されるのでしょうか?
 
保険診療には「歯科衛生士実地指導」という項目あがり、歯ブラシの方法や日常生活での注意点をお話しする枠が設けられています。
 
その時間は「月に1度15分まで」で、診療報酬は80点、すなわち800円です。
 
ここで15分で800円なら1時間3200円で、ある程度の収益にはなると思ったかたは、早合点です。あくまで月に15分までで、それ以上指導したとしても80点以上は算定できないという意味です。
 
もちろん月が変わればまた80点が請求できますが、月に15分で正しい歯磨き技術を会得し、炎症がない歯肉に戻すことができる人がいると思われるでしょうか。
 
ならば、15分以上は実費でいただいたらどうでしょう?実はそれが混合診療で違法なのです。
 
私たちが考える良い治療の一つに《できるだけ炎症がない歯肉に戻し、精密な型取りをする》というものがありますが、これは保険医療機関のままでは実現いたしません。
 
インプラントや矯正を併用する場合はさらに重要で、とても保険診療の規格内で結果を出せる話になりません。大きな問題となっているインプラント周囲炎も、保険診療の延長で考えていては、治療どころか予防も難しくなってきます。私たちが自由診療専門医を選択した一番大きな理由はここにあります。
 
以上の事は法に絶対抵触しない自由診療専門医である私たちだから言えることであり、グレーゾーンで診療せざるをえない保険医療機関では決して声をあげられないことです。
 
本当に自由な診療は、自由診療専門医でしかできないのです。
 
 

自由診療専門医としての役割

 
以上のように、自由診療と保険診療ではモノもコトも大きく違います。また同じ自由診療と言っても、保険医療機関と自由診療専門医では、できる内容に差があります。

初めていらっしゃった患者さんを診ると「こうしておけば今こんな苦労をすることはなかったんじゃないか」といつも思います。その時必要だったのはモノ以上にコトの方です。
 
したがって、社会における歯科自由診療専門医の役割とは、モノは当然として、コトをきちんと供給するところにあります。

健康保険のおかげで、日本人は病気を心配する必要がない時代が続いてきました。しかしそれに安住しきってしまい「病気になっても医者が治してくれる」という誤った認識を持った社会を築いてしまっていないでしょうか。

自分の事なのにまるで他人事、歯ブラシや生活習慣の指導をしても「医者から言われたからしかたなく…」という消極的な姿勢になりがちです。これでは治るものも治りません。この辺りが健康保険で行うコトの限界なのだと思います。

保険医療機関の歯科では、単品ごとのモノを自由診療で提供することはできるかもしれません。しかしそれ以上のコトが絡んでくると自由診療専門医でなくては難しい、これが吉田歯科診療室が自由診療専門医である一番大きな理由です。
 
冠を被せる治療を例にモノとコトの説明をしてまいりましたが、それ以外にも、例えば私たちが注力している栄養療法(オーソモレキュラ療法)はすべての歯科治療と平行しますので、保険医療機関の歯科では採血や栄養指導は難しくなります。特に高濃度ビタミンC点滴療法は、保険医療機関では歯周病治療や手術との併用はできません。
 
私(吉田)も2012年5月までは保険医療機関として健康保険も扱う診療をしていましたので、自由診療の扱いには混合診療にならないようすいぶん腐心してきました。
 
しかし現在は保険医療機関を辞退し、できる限り患者さんの未来のためになる歯科医療を、合法的に実現できる体制に整えています。
 
自由診療を《高い=自分とは関係ない=保険診療で十分》と考える時代は終わっています。何と言っても投資価格以上のリターンが得られるのが、歯科の自由診療の特徴です。
 
ただしそれは中途半端な自由診療ではなく、自由診療専門医が行うものであってほしいと思います。
 
以上をもってして、あなたが本当に良い自由診療を受けるきっかけになっていただければ幸いです。
 
 

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