エルビウムヤグレーザー

エルビウムヤグレーザーは日本で認可されているレーザーの中では、唯一歯を削ることができるレーザーです。
ただし歯と言っても、内部の象牙質と、ムシ歯で柔らかくなった部分です。外側の硬いエナメル質も削れないことはないのですが、ちょっと能率が悪いので部位によってはあまりお勧していません。
エルビウムヤグレーザーはその性質上、水分に最も良く吸収され、一瞬にして蒸発させます。歯の構成成分でヒドロキシアパタイトという硬い部分にも水があるので、そこに反応し歯が崩壊するような形で削除されていきます。
通常歯を削るためには、エアタービンという高速回転の切削器具を使い、耳障りな音と振動が発生します。しかしエルビウムヤグレーザーは「パパパパ…」という小さなパルス音だけで振動もありません。
ムシ歯の大きさや個人差もありますが、麻酔の必要なく削って行ける場合が多くあります。ただし切削の能率は高くなく時間がかかりすぎるので、エアタービンなどとの併用が必要です。
削った後はコンポジットレジンを詰める治療になります。冠(クラウン)を被せるための切削には残念ながら使えません。
ネット上にはこのエルビウムヤグレーザーについて「痛みも振動もなく歯にやさしいレーザー」と過大表現されていますが、そういう事もある程度にとどめておいてください。
エルビウムヤグレーザーを誤照射なく的確に使おうとするなら、顕微鏡との併用が必要です。以下のビデオはその一例で、レーザーがあるから良い治療ができるわけではなく、顕微鏡で見て過不足なく削り、その後は確実にコンポジットレジンを詰めるためにラバーダムが必ず必要です。
あなたがもしレーザー治療を望んているならば、そのような事にまで配慮してくれる歯科医院を選ぶ必要があります。
また以下の動画は2009年に公開したもので現在の機種とは違うのですが、同じエルビウムヤグレーザーの応用方法について説明したものです。顕微鏡との併用で、肉眼では難しい細かな操作が可能なことがお分かりいただけるとおもいます。